スタッフのつぶやき  Vol.1

「先生、今週、京都へ行って来ます。」

「えっ。まだ入試全部終わってないだろ? 旅行とは余裕あり過ぎじゃない?」「違いますよ。先生には言ってなかったんですけど、オレそこに受かっても行く気ないっスから。」「じゃあ、どうして受けるの?」「実は、京都に祖父ちゃん・祖母ちゃんがいるんですよ。オレの入試のこと気にしていて、京都の大学受けろって、まぁ、うるさいんですよ。だから、じいちゃん・ばあちゃん孝行ってところですかね。」「大学名は?」

「D・・・大学。」

「はぁ! 関西じゃ一・二を争う私立じゃないか!」

「だから絶対落ちますよ。そうすれば合法的に京都に行かなくて済みますから….」

それから二週間後、入試報告に来てくれた彼は暗い顔つきをしていた。
高校は進学校。親の期待も高い。本命は都内の超有名私大。スベリ止め含めて全部で7大学9学部受験、いや、京都の大学も入れれば8大学10学部。本人のプライドも高いし、周りの目もあるので、スベリ止めと言っても偏差値50台の後半以上ばかり。かなりハードな挑戦ではある。

長い付き合いだから、ズバリ聞いた。

「浪人か?」

「それが…. 一つだけ受かりました。」

「じゃぁ、少しは明るい顔して入って来いよ。」

「京都なんですよ。」

「…….」

関東は全滅。唯一受かったのが京都のD・・・大。関東のスベリ止めより上である。

「でも良く合格したなぁ。」

「これ、オレの想像ですけどね、そもそも行く気がなかったから、変な意気込みがなかったというか、思いっきりリラックスして受けたというか。欲を出さなかったのが良かったんじゃないっスか?」

なるほど、極意である。

浪人するか、D・・・大学に進学するか、悩みに悩んだ末に進学を決めた。

祖父母は京都の北の方に住んでいらっしゃるので、通学には不便なため、大学近くの京田辺市にアパートを借りることにした。京田辺市と言えば、その数年前に殺人事件のあった所ではあるが・・・。

一番喜んだのは、以外にも母親であった。何せ、一人息子で溺愛しているのであるから外には絶対出さないであろう、と息子も父親も私もそう思っていた。

大学1年の夏休みの終わり頃、彼がひょっこり教室を訪ねて来てくれた。手土産など持って。しかし、あまり浮かない顔つきである。

「授業が面白くないとか、彼女ができないとか? まさか大学やめてもう一度受験し直すなんて言うんじゃないだろうな。」

「そんなんじゃないっスよ。オレがD・・・大に受かって一番喜んでいたのがオフクロだったの覚えています?」

「あぁ、意外だったよね。」

「裏があったんですよ。」

「裏? 裏口入学したの?」

「違いますよ。何言ってんですか。」

「意味わかんないんだけど。」

「オレ、気づくべきでした。オフクロ、京都大好きだったんですよ。」

「それって、もしかして・・・」

「前向きに考えて、やっと一人暮らしを楽しもうと思い始めたら、月に最低一回3・4日、オレのアパートを根城にして京都巡りですよ。いい歳した男が同じ部屋にフトン並べてオフクロと寝るんですよ。絶対カッコ悪いっスよ。」

今年大学3年。今のところ大学はやめていない。そろそろ就活である。一波乱あるかも知れない。

 熊切敬一 (2011.6)

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