Choテク言葉とNoテク言葉  スタッフのつぶやき

情報機器による通信が一般化した影響か、はたまた、せわしい現代の風潮のためか、省略言葉が加速度を増して広まっています。確かに要を抑えて便利なことは否めませんが・・・。

室町時代の初め、和歌の名人四人~頓阿・慶運・浄弁・兼好~は「和歌四天王」と呼ばれ、文学史を覚えねばならない大学受験生は知っているかもしれません。その中の二人、頓阿と兼好のある日の歌の遣り取りを紹介しましょう。

兼好:出家僧とは侘しいものじゃ。金も無ければ米もない。かと言って、「金を貸してくれ、米を分けてくれ」とは情けなくて人には言えん。まして儂のプライドが許さぬ。さて、どうしたものか・・・・・そうじゃ!

と、にんまり笑った兼好さん、友達の頓阿君に歌を送りました。

<夜も涼し寝ざめの仮庵手枕も真袖も秋に隔てなき風>

頓阿:ん?兼好君からlove letter?そんなバカな!ってことは、何か暗号があるはず。ふむふむ、ほ~、そういうことであったか。儂とて貧乏出家じゃが、無下に頼みを断るわけにもいかない。兼好君の知恵を借りるとするか。

<夜も憂しねたく我が背子果ては来ずなほざりにだにしばし訪ひませ>

と、こちらもにんまりと返歌し、意思疎通完了!!

え?何を言ったか分らないですって。では暗号を解読しましょう。

兼好 → 頓阿

よもさむし ねざめのかりほ たまくらも まそでもあきに へだてなきかぜ

①   ⑩ ②     ⑨ ③   ⑧ ④     ⑦ ⑤     ⑥

下の数字①→⑩を繋げると、

よねたまへぜにもほし = 米たまへ銭も欲し

各句の最初の音と最後の音を繋げて言葉とする「沓冠」(くつこうぶり・くつこうむり)という表現技法、グレード・アップした折り句と言えましょう。

頓阿から兼好への返歌も同様に該当音を繋げると、

よもつらし ねたくわがせこ はてはこず なほざりにだに しばしとひませ

よねはなしせにずこし = 米は無し銭少し

となる訳です。

必要文言を端的にという意味だけであるならば、現代の若者省略言葉に通じるものがあります。上記和歌の往復についての感想を、現代ではさしずめ、<スゴッ=凄>って言うのでしょうか。<コワッ=怖>、<オソッ=遅>、<オキッパ=置きっ放し>。<シャーシー頂戴>なんて言われて<私の写真?>なんて思ってはいけません。<シャープペンシルの芯頂戴>って言っているのです。確かに意味もフィーリングもよく伝わります。ところが、伝わってくるものは必要最低限、身も蓋もないどころか中味も無い。いずれ消えていく言葉、歳を重ねれば使わない言葉だと思いつつ、このような言葉に慣れてしまうことは、ボキャ貧街道まっしぐら、という気がしてしまうのですよね。

同じ言葉で遊ぶにしても、もう少し技が、おつむの一ひねりが欲しい。兼好・頓阿のようなハイパーテクニシャンになれずとも、周りを少しは唸らせる小技使いになってはいかが?

                                  (熊切 惠美子)

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